AI時代、ホームページは誰のために書くのか?

これまで、ホームページは基本的に「人に見てもらうもの」でした。

会社を知ってもらう、商品やサービスを説明する。

料金を確認してもらう、問い合わせにつなげる。

検索エンジン対策、いわゆるSEOも、その先にいる「人に見つけてもらう」ための取り組みでした。

ところが、生成AIが普及したことで、この関係が少し変わり始めています。

ホームページを読むのは、もう人間だけではありません。

ホームページを見る前に、AIに聞く

例えば、旅行先でキャンプ場を探しているとします。

以前なら、「〇〇県 キャンプ場 ペット可」

などと検索して、いくつかのホームページを開いていました。

料金を見る。

設備を見る。

ペットのルールを確認する。

アクセスを調べる。

それぞれのホームページを見比べながら、自分の条件に合う場所を探します。

ところが生成AIを使えば、

「犬と一緒に泊まれて、車を横付けできて、近くに温泉があるキャンプ場を探して」

と、そのまま聞くことができます。

さらに、

「初心者でも利用しやすいところは?」

「焚き火ができるところに絞って」

と続けることもできます。

利用者自身がホームページを一つずつ調べるのではなく、AIに調べてもらう。

そんな情報の探し方ができるようになりました。

AIが間に入る

これまでの情報の流れを単純化すると、

人 → 検索 → ホームページ

でした。

ところが今後は、

人 → AI → ホームページなどの情報 → AI → 人

という経路も増えていくでしょう。

AIが人の代わりに情報を探し、整理して、説明する。

つまり企業側から見ると、

ホームページを最初に読む相手が、人間とは限らなくなった

ということです。

これはホームページの役割を考える上で、結構大きな変化だと思います。

AIは「雰囲気」だけでは判断できない

ホームページでは、写真やデザインも重要です。

きれいな風景。

楽しそうな利用者。

おしゃれな施設。

こうしたものを見て、

「ここ、良さそうだな」

と人は感じます。

しかし、AIが利用条件を調べる場合には、それだけでは足りません。

チェックインは何時なのか。

料金はいくらなのか。

ペットは利用できるのか。

どのサイトなら利用できるのか。

車は横付けできるのか。

焚き火はできるのか。

こうした情報が、言葉としてきちんと存在する必要があります。

写真を見れば何となく分かる。

常連なら知っている。

電話で聞いてもらえば分かる。

それだけでは、AIは正確に情報を扱えません。

「詳しくはお問い合わせください」の先

「詳しくはお問い合わせください」

という表現もよく見かけます。

もちろん、個別の判断が必要な内容であれば、それで問題ありません。

しかし、本来公開できる情報まで掲載されていなかったらどうでしょう。

これまでは、

ホームページに書いていない

電話やメールで聞いてもらう

という流れが期待できました。

ところがAIを通じて比較される場面では、

情報が見つからない

条件を満たしているか分からない

別の候補が提示される

ということも考えられます。

「問い合わせてもらえば分かる」では、その問い合わせまでたどり着かない可能性があります。

だからといって、何でもホームページに掲載すればよいという話ではありません。

重要なのは、

公開できる情報を、きちんと公開できているか。

ということです。

SEOからAI対策へ、ではない

ここで、

「これからはSEOではなくAI対策だ」

という話にしたくなるところですが、私は少し違うと思っています。

検索エンジンもAIも、そして何より人間も、必要としているものには共通点があります。

正確な情報。

具体的な情報。

整理された情報。

最新の情報。

分かりやすい情報。

結局のところ、

自社について、きちんと説明できているか。

という基本に戻ってきます。

AIに読んでもらうためだけに、不自然な文章を大量に作る必要はありません。

人が読んでも理解でき、AIが参照しても意味を取り違えにくい情報を整える。

その方が意味があって、本質的です。

ホームページは「企業の公式情報源」になる

ここまで考えると、ホームページの見方も少し変わってきます。

これまでは、

ホームページ=人に見てもらうメディア

という性格が強かったと思います。

これからは、それに加えて、

ホームページ=自社についての公式情報を置いておく場所

という役割が、より重要になるのではないでしょうか。

人が読む。

検索エンジンが読む。

自社のAIチャットが読む。

外部の生成AIが参照する。

今後はAIエージェントが情報を確認する場面も増えてきます。

誰が読む場合でも、参照する元の情報が正確でなければ、正確には伝わりません。

生成AIの性能がどれだけ高くなっても、

元になる情報が存在しなければ、AIにも伝えられない。

これは変わりません。

AIに読ませてみると、自社の情報が見えてくる

これまでこのシリーズでは、実際にホームページの情報をAIに読ませることを考えてきました。

すると、

「この質問には答えられない」

「情報はあるけれど、複数のページに分散している」

「ページによって説明が違う」

「古い情報が残っている」

といったことが見えてきます。

これはAIのためだけの問題ではありません。

人間にとっても同じです。

AIに読ませることが、

自社は何を伝えていて、何を伝えられていないのか

を確認する機会にもなります。

では、誰のために書くのか?

AI時代のホームページは、

人のために書くのか。

検索エンジンのために書くのか。

AIのために書くのか。

どれか一つを選ぶ必要はないと思います。

相手に合わせて情報を小手先で最適化するよりも、

自社について必要な情報を、正確に、分かりやすく、整理して公開する。

まずはそこではないでしょうか。

人が読んでも分かる。

検索しても見つかる。

AIが参照しても意味が分かる。

そんな状態を作っておく。

これからのホームページは、「見てもらうための場所」だけではなく、

自社を正しく知ってもらうための情報資産

になっていくのかもしれません。

AI時代だからこそ、

「ホームページをどう見せるか」だけではなく、

「自社について、何を、どう伝えておくのか」

を改めて考える必要がありそうです。