AIが「答えられなかった質問」に価値がある?

前回の記事では、ホームページの情報をAIに読ませることで、どんなことができるのかを紹介しました。

ホームページの中から情報を探すのではなく、知りたいことをそのままAIに質問する。

問い合わせ対応に使ったり、社内から情報を探したりすることもできます。

今回は、その仕組みを使っていて気づいた、もう一つの使い方について紹介します。

注目するのは、

AIが「答えられなかった質問」です。

AIなら、できるだけ多くの質問に答えてほしい

ホームページにAIチャットを設置すると、当然ながら、できるだけ多くの質問に答えられるようにしたくなります。

利用者が質問する。

AIが適切に回答する。

問題が解決する。

これが理想です。

逆に、

「その情報は確認できませんでした」

「ホームページ内に該当する情報がありません」

という回答が返ってくると、

「AIがうまく答えられなかった」

と考えてしまいます。

もちろん、AI側の仕組みを改善すべきケースもあります。

しかし、すべてがAIの問題とは限りません。

そもそも、情報がないのでは?

例えば、キャンプ場のホームページにAIチャットを設置したとします。

利用者から、

「雨の日でも焚き火はできますか?」

という質問がありました。

AIはホームページを探します。

しかし、その情報がどこにも書かれていない。

この場合、AIは明確に回答できません。

では、これはAIチャットの失敗でしょうか。

少し見方を変えると、

お客様が知りたい情報が、ホームページに掲載されていない

ことが分かったとも言えます。

これは、AIの回答精度とは別の問題です。

「問い合わせ」はニーズそのもの

ホームページを作る側は、

「お客様が知りたいであろう情報」

を考えて掲載します。

営業時間。

料金。

サービス内容。

アクセス。

よくある質問。

しかし、作る側が想定していることと、実際に利用者が知りたいことが同じとは限りません。

例えばキャンプ場なら、

「雨でも焚き火できますか?」

「夜は何時まで車を出入りできますか?」

「テントサイトからトイレまでどのくらいですか?」

「近くで薪を買えますか?」

「小さな子どもでも使えるシャワーですか?」

運営側にとっては当たり前すぎて、ホームページに書いていないこともあります。

しかし、初めて利用する人にとっては重要な情報です。

AIチャットに入力された質問は、

利用者が実際に知りたいと思った情報

そのものです。

ここに価値があります。

回答できなかった質問を集めてみる

そこで、AIが答えた内容だけではなく、

答えられなかった質問を確認する

ようにします。

すると、

同じ質問が何度も出ている。

似たような質問が多い。

特定のサービスについて質問が集中している。

といったことが見えてくるかもしれません。

例えば、

「ペットと利用できますか?」

という質問には回答できる。

しかし、

「ペットは何匹までですか?」

には答えられない。

さらに、

「大型犬でも利用できますか?」

「ドッグフリーサイト以外にも犬を連れて行けますか?」

といった質問も出てくる。

そうすると、

「ペット可」

という情報だけでは、利用者にとって十分ではないことが分かります。

ホームページを改善する

そこで、回答できなかった質問をもとにホームページを見直します。

FAQを追加する。

利用案内を詳しくする。

サービス説明を書き直す。

必要であれば、新しいページを作る。

すると、

利用者が知りたい情報が増える。

ホームページ自体が分かりやすくなる。

そして、その情報を参照するAIも答えられるようになる。

つまり、

質問される

AIが回答する

回答できなかった質問を確認する

不足している情報を追加する

ホームページが改善される

AIが回答できる範囲も広がる

という循環が生まれます。

「回答率100%」を目指す必要はない

ただし、AIがすべての質問に答えられるようにする必要はありません。

むしろ、それは危険です。

ホームページに情報がない。

個別の確認が必要。

担当者の判断が必要。

そのような質問について、AIが無理に回答するべきではありません。

例えば、

「明日の朝7時にチェックインできますか?」

という質問。

通常のチェックイン時間についてはホームページに書いてあっても、例外対応が可能かどうかは担当者に確認しなければ分からないかもしれません。

その場合は、

「ホームページ上では確認できません。施設へお問い合わせください」

と案内する方が適切です。

大切なのは、

何でも答えるAIを作ることではなく、答えてよいことと、答えてはいけないことを分けること

です。

「答えられない」は失敗ではない

AIチャットを評価するとき、

「何件の質問に答えられたか」

だけを見ると、回答できなかった質問は失敗に見えます。

しかし、

「なぜ答えられなかったのか」

まで見ると、意味が変わります。

AIの仕組みに問題があるのか。

ホームページの書き方が分かりにくいのか。

必要な情報そのものが掲載されていないのか。

そもそもAIが答えるべき質問ではないのか。

原因によって、対応はまったく違います。

つまり、

「答えられなかった」という結果そのものが、改善のための情報になります。

AIチャットを「センサー」として考える

こう考えると、ホームページに設置するAIチャットの役割も少し変わります。

問い合わせに答える。

情報を探す。

それだけではありません。

利用者が何を知りたいのか。

どんな言葉で質問するのか。

どこで困っているのか。

自社が何を伝えられていないのか。

それを知るための、

「センサー」

として使うこともできます。

これまでのホームページは、企業から利用者へ情報を発信するものが中心でした。

AIチャットを置くことで、

利用者から企業へ、

「私はこれを知りたい」

という情報も戻ってきます。

その声を使って、またホームページを改善する。

AIを問い合わせ対応の省力化だけに使うのではなく、

お客様を知るための仕組みとして使う。

そんな使い方もできるのではないでしょうか。